饒津神社の石垣
  東区二葉の里の饒津神社境内各所にある「石積」についてこの頁では取り上げています。
  饒津神社の石垣
饒津神社の境内地は、二葉山の麓を造成したもので、境内は四段の台地に分かれています。その境に当たる三箇所に石垣が築かれています。
一)本殿前の布積み。 一).拝殿前の乱積み。 一).唐門下の布積み。
1835(天保6)年の築造で、石どうしの隙間がまったくない、切り込み接ぎ(ハギ)という高度な技法を用いています。
  本殿前の布積み
本殿前という厳粛な場所であるので、伝統的な通常の布積みになっています。
横方向に目地が通っているのが布積みの特徴です。
説明板では横方向に目地が通っていると云っていますが、わたしが(拝殿左右の)柵越しにみたところでは目地を通さなければという意志(施工を指示した者に)はあったのでしょうが、材料の関係、施工日数、施工費などなどでそうは出来なかったのが現場で施工した石工だったのではと思いました。
  拝殿前の乱積み
形や大きさが異なる石材をひとつづつ擦り合わせ組み上げ、横方向に目地が通らない乱積みです。
通常の乱積みには見られない大胆で斬新な石使いで、モザイクやジグソーパズルを思わせる模様を造っています。
この石垣に連なる25m幅の石段は江戸時代までに参道として造られた階段の中では間口の広さ、長大な切り石を使っている点で、拝殿前の乱積みとともに江戸時代のものとしては最大級のものと評価されています。

拝殿前の25m幅の石段   13.01.18.撮影
  唐門下の布積み
細長い長方形の石材を横に三段に積んだ単純な布積みですが、使用されている石材はひとつづつが長大で、それまでの石垣の概念とはかけ離れた趣があります。
藩主だけが目にできた江戸城本丸の中の門脇石垣にならったものかもしれません。
三段の石垣だったからか?説明板で云う長大な石材を積んだ石工の心意気がわかるような石積みと(わたしは)思いながら撮影しました。
(きりこみはぎ)
切込み接ぎ:
方形に整形した石材を密着させ、積み上げる石垣。
1600(慶長5)年以降、隅石の加工から徐々に平石にまでわたるようになり、江戸時代初期(元和期)以降に多用されるようになりました。
石材同士が密着しているので排水できないため排水口が設けられるそうです。
(ぬのづみ)
布積み:
方形に整形した比較的おおきな石を目が横に通るように積み上げる方法で、整層積み(せいそうづみ)とも云います。目地が通っているので、強度に問題があります。
現在でも擁壁工事に用いられていますが、現在はコンクリート擁壁の表面にモルタルを接着剤とした練り積みとすることで、強度的には補強されています。
(らんづみ)
乱積み:
大きさの違う自然石の平石、加工した平石をさまざまな方向に組み合わせ、積み上げる方法です。乱層積み(らんそうづみ)とも云います。安土桃山時代以降に用いられた石積みです。
2011年参拝した時に、ここで取り上げた“饒津神社の石垣”という説明板をみました。
石垣についても疎いわたしですが撮影していました。2013年のいまになりましたが、今回饒津神社で気が付いた事柄を追加編集していますので、この石垣についても頁に編集しました。
1835(天保6)年の築造というこれらの石垣も被爆した石垣であることがわかりました。
13.02.01..裕・記編集

11.12.03..撮影
広島市東区 二葉の里2‐6‐34 饒津神社

11.12.03..撮影
本殿前の石積み

11.12.03..撮影
本殿前の石積み

11.12.03..撮影
本殿前の石積み

11.12.03..撮影
拝殿前の石積み

11.12.03..撮影
拝殿前の石積み

11.12.03..撮影
拝殿前の石積み

11.12.03..撮影
唐門下の石積み

11.12.03..撮影
唐門下の石積み



「建物など」編


「牛田・二葉の里附近」編



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饒津神社(概説)
饒津神社・原爆被災説明板
(枯死した)被爆樹木・松
(境内に残る)原爆の傷跡復興記念碑
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(再建された)両部大鳥居
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(被爆した)御陣中御手水鉢
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(境内の)石垣について
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(境内建立の)平成の御大典奉祝記念樹・碑
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(番外)饒津神社の絵馬
二葉山山麓七福神恵比須天


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