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中区南吉島の広島市環境局中工場に設置されている「灰溶融炉の廃炉」について取り上げました。 |
灰溶融※ Ash-Melting Furnace
灰溶融炉は、焼却炉でごみを燃やした後に残る灰を、約1,300℃から1,500℃の高温で溶かし、ガラス質の小さな塊にするところです。これは『溶融スラグ』と呼ばれ、道路工事などの材料として再生利用することができます。 |
※三菱重工のプラズマ式溶融炉 |
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(slag)
スラグ: |
金属の製錬に際して、溶融した金属から分離して浮かぶかす。
製鋼スラグは特に鋼滓(こうさい)と書き、非鉄製錬ではからみともいう。
現場では「のろ」とよぶ。道路の路盤材やコンクリート骨材として広く用いられる。鉱滓(こうさい・こうし)。溶滓(ようさい・ようし)。 |
(ようゆう)
溶融スラグ: |
廃棄物や焼却灰をセ氏1300度以上の炉に入れ、有機物を燃焼させ、無機物を溶融した後、空気中または水中で冷却し固化して得られるガラス質の固形物。
土木・建築資材として有効利用される。溶融固形物。 |
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2011年4月17日広島市のごみ焼却場の炉が損傷、溶融物が漏れる、爆発音(水蒸気爆発2回)も
17日昼過ぎ、「中工場」の「灰溶融炉」で、床と壁など73uが焼けました。
「灰溶融炉」は、ゴミを焼却した際に発生した灰を建築資材として再利用するため、高温で溶かす、直径3.7m、高さ2.6mの円柱形設備で、この炉の底から約1,300度の液状になった灰が摩耗した耐熱煉瓦の隅間を通り、外側の鉄製ケースを溶かして、流出し燃えたとみられています。広島市などのその後の調べで灰溶融炉の底に直径数十cmの穴(サッカーボールからピンポン玉大の穴少なくとも3ヶ所)が開いていたことがわかったということです。
ことし2月から3月にかけて製造メーカー(三菱重工業)が行った点検作業では問題はなかったということで、警察などは18日朝から現場を検証したり、製造メーカーの担当者から話を聞いたりするなどして火災の原因を調べるということです。 |
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広島市は2011(平成23)年11月に「中工場2系灰溶融炉火災事故調査報告書」を市web
siteで公開していますので、詳細はそちらをみて下さい。 |
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2011年12月3日中國新聞報道によると、
『広島市は、ごみ処理施設の環境局中工場の灰溶融炉を本(平成23)年度末で廃止すると決めた。
年間8億円もの維持管理費がかかり費用対効果が疑問視されていた中、4月に火災が発生。廃止しても建設に充てた補助金の返還を求めない国の決定もあり、広島市施設課は「安全性の確保に課題があるため総合的に判断した」としている。
中工場は2003年に稼働。建設費は544億円(灰溶融炉32億円)で106億円の補助金を充てた。
灰溶融炉は家庭ごみの焼却灰を約1300度で溶かし、舗装などに使うスラグに再資源化する。国はダイオキシン対策の一環で、焼却施設整備に対する補助金の交付要件として併設を義務付けていた。
中工場の灰溶融炉は年間の電力消費量が1,100世帯分に上る。広島市は運転管理の業者委託費や修繕費などと合わせて年間約8億円を支出している。
火災事故は4月に発生。溶融物が炉壁を溶かして流出し、床などを焼いた。灰溶融炉をめぐっては各地で同様の火災が相次ぎ、運転管理の難しさが指摘された。高知市が休止、仙台市は廃止を決めた。
廃止は「最終埋め立て処分場の残存容量の15年以上確保」などが条件。
広島市は今年3月、玖谷埋立地(安佐北区)の後継施設となる恵下埋立地(佐伯区)を建設することで地元と合意し、条件を満たした。』というような内容でした。 |
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東日本大震災での福島第一原発事故報道に隠れ、ここ中工場「灰溶融炉」の報道は一部でしか取扱われていないようです。
人的災害にはなっていませんが、この施設がかかえる重大な問題点ではないかと思いましたので、中國新聞など新聞報道、NHKなどTVニュースなどの報道をもとに追記しました。 |
11.04.22更新 10.07.07裕・記編集 |