(佐伯郡五日市町の)中村憲吉の仮寓
  (当時)佐伯郡五日市町で療養したと聞く「中村憲吉の仮寓」についてこの頁で取り上げました。
五月雨さみだれは日暮にやみてこの堀の干潟の尻に水鶏くひななくなり
1932(昭和7)年佐伯郡五日市町(現・広島市佐伯区)の仮寓で中村憲吉(1889-1934)が詠んだ句が、遺歌集「軽雷集以後」に収められているそうです。
憲吉は、1930(昭和5)年に肋膜炎を患い、予後はかばかしくなく、長い病床生活に入りました。1932(昭和7)年、翌(昭和8)年の2回にわたって病気静養のため、五日市に仮寓(かぐう:仮に住むこと、また、その家)しました。
その仮寓先は、1回目が五日市旧港の堀割り沿いの家で、2回目は海岸の砂浜に面した松並木の中の海浜の家で、いずれも今は建替わり、当時の面影をとどめてはいないそうです。
1933(昭和8)年の際、斎藤茂吉(1882-1953)が寓居を訪れ自ら聴診器を取って診察しました。その時の日記に『診察スルニ両側スデニ犯サレ、ラッセル多クキコユ』とあり、残りいくばくもない友人の命を思って暗澹とした思いを書き綴っています。
(くいな)
水鶏:
(秧鶏)
1)クイナ科の鳥。全長29cmくらいで尾は短い。背面は茶褐色で黒い縦斑があり、
  顔から胸は青ねずみ色。冬に湿地や水田でみられる。冬くいな。
2)ツル目クイナ科の鳥の総称。スズメ大から小形の鶏大のものまで約130種が世界中に分布。
  日本ではクイナ・ヒクイナなど11種が知られる。
  詩歌にとりあげられ、鳴く声を「たたく」といわれるのは夏鳥のヒクイナのこと。季語:夏
  「水鶏鳴くと人のいへばや佐屋(さや)泊り」松尾芭蕉(1644-1694)。愛知県海部郡佐屋町
ラッセル: (独語)肺・気管・気管支の病気の際に、聴診器で聞こえる異常な呼吸音。ラッセル音。
中村憲吉の生家(現在、中村憲吉記念文芸館)を見学している時、展示パネルの中に、ここで取り上げた、五日市の仮寓の写真が展示されていました。
尾道で療養し、そこで亡くなったことは、尾道の中村憲吉終焉の家を見学したことで知ったのですが、その前に五日市で療養していた事をこの展示パネルで知りましたので、広島ぶらり散歩「中村憲吉関連」編を編集する時に必要だと思って撮影させていただきました。
12.07.04裕・記編集

12.05.29.撮影
広島県三次市布野町上布野1196-1  中村憲吉記念文芸館

12.05.29.展示パネル撮影
中村憲吉記念文芸館に展示のパネル

12.05.29.展示パネル撮影



「中村憲吉関連」編


「三次市」編




広島ぶらり散歩へ
中村憲吉記念文芸館
  (中村家)内部
  (文芸館)中村憲吉歌碑
  (文芸館)齋藤茂吉・土屋文明歌碑
  (文芸館展示憲吉の)五日市仮寓


「旧(佐伯郡)五日市町」編


inserted by FC2 system