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中区袋町の旧日本銀行広島支店で開催された“どこ×デザ”で展示された諏訪葵作「仕切りを解かすための触媒」です。
※2021年2月20日〜3月7日まで展示8作品のうちの1作品です。 |
過去に仕切られた場所はすっと仕切られ続けるのだろうか、あるいは「仕切り」は設置された場所をずっと仕切り続けるのだろうか。
はじめて展示場所の写真をみたときに、一番気になったのが仕切りでした。
建物があり続ける以上、たとえ人間がいなくなったとしてもその機能が続いていくという果てしない畏怖の念のようなものを感じました。
特にこのパンデミックの状況のなかでは、感染予防のためにアクリル板やZOOMの画面などに仕切られてばっかりだったということも仕切りに興味が湧いた要因のひとつです。
役割が消失した機能に人間が再び関わりを持つにはどうしたら良いだろうか。
今回はそのような興味から、仕切りに直接手を加えるのではなく、間接的にその仕切りを開放することは出来ないだろうかと考えました。
仕切りの近くに仕切りに似せて制作したオブジェクトを設置し、反対側からカメラで観測する。そして、正面のモニターにカメラで観測した向こう側の「今」を映し出す。
実際に見える今と、本来は同時に見ることが出来ない反対側の「今」が同時並行的に見えるように設置し、「過去に仕切られた場所」を融和することで過去の事象と今起こる現象による対話を試みる。
仕切られたり、カテゴリーで分けられたり、分断されたときに、直接融和することがなかったとしても間接的にそれらを解くことは可能なのかもしれない。
作品が触媒として機能し、私たちの知覚する現象と、そこから生まれる意識の反応する中で、仕切りは解かされる。 |
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諏訪 葵(SUWA Aoi:1991- ) |
東京都出身。東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒。
「NONIO ART WAVE AWARD 2019」 準グランプリ受賞。
「ゲンビどこでも企画×ゲンビ『広島ブランド』デザインスペシャル公募2020」入選。 |
『化学反応や物理的な現象を、人間が視覚的・体感的に感じるための仕掛けや、それらと出逢うための装置、空間、イメージなどを様々な表現形式で制作。
近年では特にモノがもつ機能と、それらを感じる人間の身体的感覚との関係性をテーマとして扱っている。』そうです。
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この作品が、(題名から)「仕切りを解かすための触媒」を表そうとしているのでしょうが、老人で硬直した頭のわたしには、この作品がそれを的確に表せているのか、わからない(理解できない)ままみて撮影しました。
B4の小さな紙切れ(上記)の小さな文字をその場で読むことは視覚障碍者のわたしには過酷すぎるので、撮影し帰宅後拡大して読んでみました。
書かれていた作者の考え方は、トランプ前米大統領の4年間、精神的にも物理的にも仕切りを設置することに邁進し、分断された世界になりつつあったとわたしは思っていましたので、その仕切りを解かし、こちらとあちらを融和することはいま必要なことなのではと(見当はずれかもしれませんが)そう思いながらこの頁を編集しながら作品を理解したいと想いました。
B4用紙で小さな字での作者の言葉は、大きな字で、部屋内に貼りだすことは、主催のゲンビにはできたでしょうから(老人である一人の広島市民の要望として)ここに書いて編集の終わりとしました。 |
21.03.15.裕・記編集 |